☆☆☆★★ 吉野竜平 2021年
これは秀作だった。
佐久間由衣ちゃんと奈緒ちゃんの姿が眺めら
れればいいかと観に行っただけだったのだが、
どんどん映画に引き込まれることになった。
原作小説は津村喜久子のデビュー作。
役所の児童福祉課に就職が決まった処女の大
学生が佐久間由衣。隠れビッチをやったり処
女をやったり、時子もなかなか大変だ。飲み
会でちょっと良いなと思った男の子がのちに
自殺したことをきっかけに、このまま漫然と
子どもの命にも関わる職に就いていいものか
と悩み始める。
ストーリーの骨格がしっかりしているからか、
俳優が遺憾なくおのおのの芝居をできている
というか、みんななかなか魅力的だ。小日向
星一、笠松将といった若手が好演。就職が決
まらずに焦っている者がいれば、はやばやと
内定をもらってあとはほどほどに卒論をがん
ばれば大学生活も終わりという、半分気の抜
けたような者もいる。4年生ってこういう感
じだったよな、という雰囲気がよく出ていた。
そこに一学年下の奈緒が絡んでくるわけだが、
彼女は過去に圧倒的に理不尽な暴力によって
受けた傷を負っている。独特な空気をまとっ
た彼女を演じる奈緒がけっこう絶品である。
9.26(日) テアトル新宿
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