2021年5月14日金曜日

青春残酷物語

 
☆☆☆★★   大島渚   1960年

どことなく日活の石原慎太郎原作の映画を思
わせるような、無軌道で刹那的な若者たちを
描いた大島の長編第2作。ヒリヒリするよう
な若者の「生き急ぎ感」が全体を覆っていて、
画のインパクトも強い。興行としては大ヒッ
ト、のちにゴダールが『映画史』で採りあげ
たことも有名である。

桑野みゆきは男にホテルに連れ込まれそうに
なっている所を川津祐介に助けられるが、翌
日、誘われて付いて行った木場で遊んでいる
ときにレイプされる。
この時の、泳げない桑野みゆきを海に突き落
としておいて、同意するまで木材に摑まらせ
ないように執拗に蹴り続ける川津祐介が、石
原慎太郎の小説の人物のようだと思ったわけ
だが…。しかし結局ふたりは同棲することに
なる。このへんの60年代的な流れには付い
て行けません…。それにしてもロケーション
がどこも良い。

この種の映画ではあまり見ない久我美子も出
演。過去のあやまちを悔い続けている桑野の
姉を演じる。またこの映画の渡辺文雄は絶品
である。久我美子の元恋人の町医者。この人
物の存在が映画を引き締めていると思う。

                              4.18(日) シネマヴェーラ




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