2021年9月11日土曜日

ドライブ・マイ・カー

 
☆☆☆★★★   濱口竜介  2021年

どこをどうしたら短篇小説を原作にして179
分の映画になるのかと、観る前は不思議だが、
観れば納得。まったく「長すぎる」という感
じはしない。

少しネタバレになるが、詳しくいうとこの映
画は「ドライブ・マイ・カー」だけでなく、
『女のいない男たち』所収の「シェエラザー
ド」のプロットと、「木野」のほんのちょっ
との場面も取り込んで脚色している。ただい
ずれにせよ広島の映画祭の部分は完全に濱口
竜介のアダプテーションということであり、
その手際は見事というほかない。手話による
『ワーニャ伯父さん』など、なんだか艶めか
しい感じもして、もっと長く観ていたいと思
わせる。原作の「黄色」のサーブを「赤い」
サーブに変更したのは美術の都合か監督の趣
味か。視覚的には正解という気がする。

劇中の「感情を排して、なるべくゆっくり発
声する読み合わせ」は、濱口竜介の演出手法
として実際におこなっているものだそう。

しかし中頓別町も損したね。下手に抗議なん
かしなければ、あのシーンが中頓別でロケ撮
影されたかもしれないのに。

                       8.20(金) TOHOシネマズ新宿




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